歯医者

 先日、歯の治療がおわった。歯医者というのはいつまでかかるか分からないわ、毎回ビクビクしなければならないわで、つくづくイヤなもんだと思う。歯医者が他の病院に比べて数倍怖い感じがするのは、いつ痛みがくるか分からないからだろう。

 外科医で、たとえば足の怪我を治療したとする。「あー、この医者がおれの怪我したところに薬ぬるんだよ、うーん、いたいんだろうなぁ、うーん、来るぞ、来るぞ、痛いのが来るぞ、うーん、いたっ!」って感じで、いつ痛くなるか予想できる。それにたいして歯医者の場合、いつ痛みがくるか分からない。ギガガガガ、ギガガガガ、ギガガガガ、ウヘッ!!っと突然痛みがくるから、つねに緊張していなければならないのだ。だから肩が凝る。

 もう一つ歯医者が怖いのは、頭に近いから、というか歯が頭部の一部だからじゃないかと思う。音だとか、振動が脳みそまで伝わってきてイヤなんてモンじゃない。

 てなわけで、わたしは歯の治療が終わって一安心、もう歯医者なんて一生いきたくないなって感じなのだが、最近こんどはわたしの母が歯医者に通い出した。わたしの母は長い間治療もせずに歯をほったらかしにしていたために、いろいろと問題があるらしく、まず最初に歯間ブラシを、次に歯ブラシを、次に歯磨き粉を買わされた。

 そのうち眠るだけで歯が治る高級羽毛布団50万円だとか、もってるだけで死ぬまで虫歯にならないスペシャルつぼ100万円だとか、見ているだけで死ぬまで歯がピカピカになる尊師の髪の毛一本200万円とかで買わされそうな気がしてきた。

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