わたしとゲーセン

 わたしは「したい」とか「欲しい」とおもったら、矢も楯もたまらず、我慢も出来ず、後で後悔するのが目に見えたとしても実行に移してしまうダメな奴なんです。ホントにダメな奴なんです。で、最近ひょんな事からゲームセンターにはまってしまい、この一ヶ月で二万円くらい浪費しているのです。ゲーセンで金を使うたびに、悔恨の念にとらわれ、一人寂しく空を仰いでは「なんてオレってダメなやつなんだ。バカ。バカ。バカ。オレのバカ。」とつぶやきたい気分になるのです。そんなときわたしの目には涙がうっすらと浮かんでいるのです。

 ゲーセンといっても、プリクラからUFOキャッチャー、レーシングゲームなど体感ゲーム類、といろいろ取りそろえてあるわけです。わたしが何に金を使っているかというと、もっぱらプリクラで、一人でゲーセンに行っては毎回100枚くらい撮る、ということは絶対にありません。あるわけがないです。プリクラなんてほとんど撮ったことがありません。では、何にはまっているかというと、メダルゲームです。メダルゲームとはメダルを入れてプレイするゲームで、ポーカーだとかスロットマシンだとかがあって、ブラウン管の画面に向かって一人ボタンをガシャガシャおしてプレイするのです。これがやっているときはなかなか熱中するのですが、家に帰って冷静に考えてみると、もう自殺したくなるくらいに非常に寂しく、スゲーつまらないことのように思えてくるのです。それなのに、どうしてもやってしまうのです。

 ゲーセンにはいろいろな人間がいて、わたしはどちらかというと人生を諦めたかのように寂しくボタンをカチャカチャ押してプレイし、時折深くため息をつく程度なのだが、なかには嬉々としてボタンを押しまくり、まるで天下を取ったかの様な中年オヤジとか、クールに二つのマシーンを同時に操る男だとか、目が焦点がさだまっておらず、異常にスローペースでプレイしながら、ときおり、「あ」、とか唸る髪の毛がボサボサの異次元の世界に行っちゃってる男とか、まぁ、いろいろいるわけです。ですが、どの人たちも余り幸せそうには見えず、かつ絶対にもてなさそうにみえる。というか、人間失格的ムード満開なわけで、わたしはこの文章を書きつつ、もう絶対にゲーセンには行かないことを強く強く決意したのであった。空には星が輝いていた。となりでは親父が鼻毛を抜いていた。

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