コレリ大尉のマンドリン (2002/米)

監督:ジョン・マッデン

出演:ニコラス・ケイジ / ペネロペ・クルス / ジョン・ハート / クリスチャン・ベール / デビッド・モリッシー / イレーネ・パパス / パトリック・マラハイド

ギリシャに負けましたという感じの映画。ギリシャの海、ギリシャの太陽がとてもうつくしい。うつくしい風景と光にマンドリンの淋しい音色がジャストフィット、すばらしいハーモニーを醸し出している。海を大々的にフィーチャーしたあたりは良いと思った。が、その美しさも作品全体の安っぽさ、ダメさをカバーするとまでは言いきれないだろう。

ストーリーは平凡、いや陳腐である。役者も普通。アントニオ・コレリ大尉(ニコラス・ケイジ)もペラギア(ペネロペ・クルス)もいまひとつインパクトに欠ける。出演者の中で特にいい味だしてるのは子役の女の子(名前わすれた)と医者のジョン・ハートだ。ジョン・ハートの味のあるオッサンぶりは「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレードを思い出させた。

あと、たしかにペネロペ・クルスはギリシャってかんじだしニコラス・ケイジもイタリアって雰囲気をだしてるのだがセリフが全て英語なのはどうもすこし気になる。日本人のわたしとしては、どうせ字幕でみているのだからギリシャ語とかイタリア語とかバリバリつかってくれるとさらに異国情緒漂いまくりで嬉しかった。

途中の戦闘シーンはいらなかったのではないか、そんな感じのする中途半端な戦闘シーンだった。やはり恋愛ものなのだからそこはハッキリさせた方がいいとおもう。戦争の残酷さを「二人の愛を引き裂く」という形で描きたかったのだろうか。それはあまりにありきたりだと思うが。

中途半端に残酷シーンなんかいれないで、たる〜いマンドリンの音とエメラルドグリーンのギリシャの海とあま〜い恋愛で徹底的に酔わせてくれた方がよかった。「初恋のきた道」のように。監督ジョン・マッデンは「恋に落ちたシェイクスピア」の監督だが、ぜんぜん「恋に落ちたシェイクスピア」の方がいい作品だ。

追記:

コレリ大尉のような熱いアプローチの仕方もいいなぁ、やっぱりこれくらい強くアプローチするといいのかなぁ、さすがイタリア人はすげーなぁ、今度みならいたいなぁ、などと考えたりしたのだった。

ドイツウォッチャーのわたしとしてはドイツ人の描き方が気になるのだが、ハリウッドの掟としてやはりドイツ人は悪者だ。ま、ナチス時代のドイツは悪者にしか描けないのかもしれないが。

タイトルが「コレリ大尉のマンドリン」っていうんだからもっとマンドリンを大々的にフィーチャーしていろいろ意味づけすればよかったのに・・・。けっこう使いやすそうな小道具だとおもうんだけど。

 

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