ソードフィッシュ (2001)

監督: ドミニク・セナ
出演: ジョン・トラボルタ / ヒュー・ジャックマン / ハル・ベリー / ドン・チードル / ビニー・ジョーンズ / カムリン・グライムズ / サム・シェパード / ルドルフ・マーティン / ザック・グレニアー


 はっきりいってよくわからないところがある。それは「錯覚」だ、ということなのかもしれないが、もっとうまい錯覚のさせかたがあろうとおもう。(たとえば「羊たちの沈黙」みたいに。)

 「交渉人」や「セブン」のような張りつめた緊迫感もなく、だらだらすすむだけ。スピー ド感もイマイチ。「ゴッド・ファーザー」や「L・Aコンフィデンシャル」のように「悪の格好良さ」もぜんぜん描かれていない。

 ジョン・トラボルタ演ずる悪の親玉ガブリエルがそこそこ存在感を発揮しているが、 「ゴッド・ファーザー」のマーロン・ブランドのような圧倒的な存在感とまでは言えず、ほかにも魅力的な人物が登場しない。冒頭のジョン・トラボルタの映画に関する熱弁シーンではなかなか期待できるのではないかともおもったのだが・・・。

 ヒュー・ジャックマン(スタンリー)が天才的なハッカーならばその天才的なところをもっと具体的に描いて欲しかったし、天才ッぷりをいかんなく発揮して欲しかった。スタンリーは頭が驚異的に切れる男にはとても見えない。それに肝心の娘への愛もぜんぜん切実に描かれていない。

 車の爆破シーンやカーチェイスもわたしはおもしろいとは思わない。ただヘリコプターでバスをつりあげるシーンはめずらしいしそこそこおもしろい。

 「先が読めない展開」そして「ハッピーエンドじゃないもの」に監督はこだわっているらしい。たしかに「先は読めない」し、「ハッピーエンド」ではないが、「先を読もう」という気が起きてこないほどつまらない。

 この手のハッカー(ほんとはクラッカーといった方が正しいのだろうとおもうし、英語ではクラッカーといっているようだが)が出てくるものはだいたいがそうなのだが、コンピュータがなんとも陳腐に描かれていてどうも興ざめしてしまう。ほとんどの映画で出てくるコンピュータはインターフェイスが黒いバックに文字が白で、さらに「いかにもコンピュ−タ」といったピコピコ音を発していて安っぽすぎる。リナックスの「KDE」のインターフェイスをつかっているらしいが、どうせならGUIよりCUI(テキストベースのインターフェイス)のほうがハッカーぽくていいのじゃないかとおもう。

 ハッカーの名前がトーバルズというフィンランド人、なんていうところはちょっとニタニタしちゃったりして、そういうところは好きだ。

 人物が描かれていないというのが決定的な欠点。さらにストーリーもギクシャクしており、とにかくつまらない。ひどい。金の無駄。「ミッション・インポッシブル2」もつまらなかったがこの映画と比べればまだましと言える。

 この映画どうにか・せな!(←ドミニク・セナとかけている。注釈を入れないと分からないというのはかない痛い。)

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