SLAM(SLAM/1998)
監督:マーク・レビン
出演:ソール・ウィリアムズ / ソニア・ソン / ボンズ・マローン / ボー・シーア / マリオン・バリー / ボブ・ホルマン
 
 
 舞台はワシントンD.C。主人公のレイは麻薬の取引をしながら詩の創作をしていたが、刑務所にいれられてしまう。刑務所に入っている囚人の多くが貧しく酷い環境の中で生まれた黒人だ。刑務所は2つのグループに分かれていてどちらかに属さないと大変なことになるらしい。
 囚人たちは壁をたたき、机をたたき、床をたたいてリズムを作りラップする。あるときレイはボコボコにされそうになり自作の詩でラップをしだたおかげでボコボコにされないですんだ。孫子もびっくりの解決法だ。なんだかんだいって刑務所をでたレイは刑務所内で詩を教えていた女と会い・・・ま、いろいろあるのだ。
 圧倒的なラップ=言葉の力はなかなかすばらしい。特にラストのポエトリーリーディングでソニア・ソンのパフォーマンスはかっこいい。しかし映画としてどうかといわれると、どうだろううーむというかんじだ。しかし「歌がなにかを変えていく」というのは「タイタンズを忘れない」と同じだが、その扱い方が1000倍くらいこちらのほうが良い。
 刑務所内で二つのグループに分かれていてどっちかのグループに入らないといけない、というのは中学校に良くあるパターンで幼稚でバカバカしいのだけれど、それが規模が大きくなるといかにバカなことかがわからなくなるというのは怖い。
 レイは黒人であることを強烈に意識し、それを声高にラップする。かつて黒人は奴隷であったことを改めて表にだす。「過去」を忘れてはならない。しかしそれと同時に、憎しみの連鎖はなにも生み出さない、というメッセージも発している。
 この映画のなかで「過去」ということは麻薬を売ってたレイの過去であり、麻薬を買うために春を売ってた詩の先生(ソニア・ソンが演じてるヤツね名前おもいだせん)の過去であり、白人にアフリカから奴隷として連れてこられた黒人の過去である。
 それにしても黒人というのはやっぱりしゃべり方が根本的に違うのだろうか・・・。マルコムXにしてもキング牧師にしてもそうだがリズム感がわれわれとは根本的に違うような気がしてしまうのだ。
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