ペイ・フォワード(Pay It Forward/2000/米)
監督:ミミ・レダー
出演:ケビン・スペイシー、ヘレン・ハント、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジェームズ・カビーゼル、ショーン・パイフロム、ジョン・ボン・ジョビ
 
 
 小学校の道徳の時間に見れば良いような道徳的おとぎ話。でも大人が見るモンではない。安っぽい。適当。ずさん。だめ・・・むかむかしてくる。
 学校の社会科の時間にケビン・スペイシー演ずる教師が「世界を良くする方法を実践する」という課題をだす。オスメント君演ずる少年が編み出した方法が広がっていく、という話。
 オスメント君の演技も気持ち悪いくらい老成しているが、ハーレイ・ジョエル・オスメント演ずる少年も頭が良すぎでこわい。ヘレン・ハントももうおばちゃんなのでラブシーンもおもしろくない。
 ホームレスさんがヘレン・ハント役と話をするようになっていく過程はかなり杜撰に作られていて不自然だし、これまたホームレスさんがたまたま自殺しようとするおばちゃんに橋で出会うところも失笑してしまうほどだ。ところどころそういった適当につくって、ま、これでいいっしょ、とでもいうようなところが多い。
 言葉にこだわりながらも言葉が出てこなかったりするケビン・スペイシー演ずる教師のキャラクターはなかなかおもしろいし、もっと煮詰めていけばいいとおもうのだが、中途半端で残念。
 「きょうは日曜だ」などというセリフはわかりやすい意味をもっていて、『恋愛小説家』で鍵をかけ忘れるシーンを思い出してしまった。
 背後には家庭内暴力、虐待、アルコール中毒、などといういかにもアメリカ的(?)な事柄があってこれも短絡的に感じてしまう。特にエンディングが酷いようにおもう、とりあえずこうしとけば感動するだろう、といった安易ささえ感じてしまう。
 せっかくラスベガスという街はすごく美しいのだからもっともっと綺麗に映像にしてほしい。
 「自分のためでなく誰かのために」とか「人を信じましょ、それってすばらしいじゃない」とかいうメッセージがイヤなわけではない。ユートピアンな考え方もそれはそれでスバラシイと思うが(ジョン・レノンみたいにね)この映画はダメだ。あ、あとアメリカ人は子供を平手打ちしただけで「一生忘れない」というくらい子供を平手打ちすることがない、ということがわかる。
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