ZOO(1985)
監督  ピーター・グリーナウェイ
出演  アンドレア・フォレオル、ブライアン・ディーコン、エリック・ディーコン、ジョス・アックランド、フランシス・バーバー
 
 
  イギリスの映画。映像が美しい。双子兄弟の動物学者の妻が同時に交通事故で死ぬ。運転していた女も片足を失う。動物学者の兄弟は生物が死に腐敗に至る過程の連続写真を撮る。最後には自己をかして人間の腐敗の様子を映像に納めようとする。というのがいちおうのストーリーなのだが、ストーリーはあまり重要でないようだ、たぶん。
 ストーリーと言うよりも一つ一つのシーン、一つ一つの要素がモザイクのように関連し合って映画を作っているようにおもえる。いろいろな要素が登場するので2時間くらいの映画だが途轍もなく長く感じる。
 まず絵画という要素。フェルメールの絵から飛び出してきたようなキャラクターとかフェルメールの絵を再現しようとしたりとか・・・デ・キリコ風の迷宮をおもわせる映像、マグリットを想起させる青リンゴ、ミロという登場人物までいる・・・。何百年前から変わらない絵画という芸術が、生まれ生き死に腐敗していく動物と対照的になっている。ところどころに挿入される動物、微生物の映像が印象的である。
 他に白と黒の対照、ギリシャ文字(これも何千年も前からあるのね・・・)、などなど。解読しようと思って鑑賞すればいろいろ意味が読みとれるのではないだろうか。が、そんな意味を読みとろうとしなくても映像自体がとても美しい。スカートの中をのぞいてひっぱたかれるシーンは笑える。
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