ウラジミールからの電話 第二話「天体観測」
携帯電話が鳴った。ウラジミールからの電話だ。
「ボス、いま岩手にいるんですが、」
「おう、そうか。」
「やっぱ岩手は空気がキレイなんですね、星がたくさん見えるんですよ、」
「うむ。」
「あー、オリオン座がキレイだなー。」
「ウラジミール、星に詳しいんだな、意外と。」
「ボス、わたしがロシアの秘密組織にいたのを忘れたんですか?詳しいに決まってるじゃないですか。」
「ロシアの秘密組織と星がどう関係しているのか分からないが、そうなのか。」
「あ、あんな所にアンタレスが見える、あ、あっちには、わし座が、」
「おまえ適当に言ってるんじゃないだろうな。」
「あ、あそこにはシリカゲルが。あ、あっちにはトリカブトが。」
「シリカゲルって乾燥剤じゃないのか?」
「あれはポリカインだ、あれはベンゾール。」
「ポリカインって水虫の薬だろ。」
「あー」
「こんどはなんだよ!」
「バイアグラもある!」
「おい!」
「キレイだぁ。」
「キレイなのかよ!」
そういう問題なのか。
 
つづく
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