冬風
紫の空にちらちらと雪が舞い始めていた。凍てつく空気のなかに雪がキラキラと輝いていた。
 
婆「おじぃさんや、きょうは、最悪の天気ですなぁ」
爺「そぉじゃな!ばぁさん!もう、死にたいな。」
婆「そんなこといわないでくださいよ、おじいさん。」
爺「ところで、昨日、純一郎がテレビで、感動した、とか言ってたけど、いったい何のことじゃ。」
婆「さぁ、なんでしょうなぇ。」
爺「とにかく、パフォーマンスの一貫ってやつじゃろ」
婆「ま、そんなもんでしょうねぇ。」
爺「・・・・・」
婆「・・・・・」
爺「・・・・・ぐふっ!ぐわっ!かあっーーーー!」
婆「どどど、どーなさりました!おじいさん!!だいじょぶですか!」
爺「かあぁーーーーーーー」
婆「おぉぉ!」
爺「ペッ!!!!」
婆「おおおおぉぉ!!」
爺「だいじょうぶだよ、ばあさん。さっき食べた餅が出てきただけじゃから。」
婆「そ、そうですか。」
爺「もうすぐ春じゃなぁ。」
婆「ですね。もう、ハンペンはもういらないな。」
爺「なんでや。」
 
お爺さんとお婆さんは、この日、紅白歌合戦を見ながら新年を迎えた。
戻る