春風
コバルトブルーの空は、雲ひとつなく晴れ渡っていた。照りつける日差しは日に日に強さを増し、鳥たちは夏の香りを南から運んできた。鳥たちの歌声が水面に反射し、遙か遠くまで響いていた。
 
婆「おじぃさんや、きょうも、いい天気ですなぁ」
爺「そぉじゃな!ばぁさん!」
婆「・・・・・」
爺「・・・・・」
婆「・・・・・ぐふっ!ぐわっ!かあっーーーー!」
爺「どどど、どーなさった!ばあさん!!だいじょぶか!」
婆「かあぁーーーーーーー」
爺「おぉぉ!」
婆「ペッ!!!!」
爺「おおおおぉぉ!!」
婆「だいじょうぶですよ、おじいさん。痰がノドに絡まっただけですから。」
爺「そ、そうか。」
婆「もうすぐ夏ですね。」
爺「だな。ハラマキはもういらないな。」
婆「そうですね。」
 
浜辺では子ども達の声が空高く舞っていた。
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